電脳経済学v8> f用語集> ats 人工社会 (Artificial society) (v8)
              
(当初作成: 2016/10/21)

1.はじめに:
先ずはats人工社会という用語に惑わされないことだ。それには、「人工」「社会」をそれぞれ”望ましい姿の” ”データ化された人間集団”と読み替えてみる。つまり、これは現代風にアレンジされた表現である。Wikipediaには
マルチエージェントシステム (Multi-Agent System、 MAS )とある。それは、複数のエージェントから構成されるシステムであり、個々のエージェントやモノリシックなシステムでは困難な課題をシステム全体として達成する。それぞれ異なった判定アルゴリズムなどの特徴(キャラクタリスティック)を持ったエージェントモデルを用い(よってマルチエージェントと呼ばれる)、複数かつある一定以上のエージェントを多数設定し、人工社会 を構成しそれぞれ特徴の異なったエージェントの相互作用をシミュレーションするシステムを指す

2.考察/説明:
(1)シミュレーションは再現と訳されるけど、人体や社会のように現実世界で再現できない場合はモデルを構築してシミュレータ上で人工的に再現する。身近な実例はコンピュータゲームであるAI(人工知能)深層学習(ディープ ラーニングあるいは複雑系エキスパートシステムとも共通するこれら概念は多変量解析の人間意識への応用事例である。先ず概念を把握してから細部に踏み込まないと迷路に嵌って却って混乱に陥るので注意を要する。
(2)エージェントは主体的な行為者(代理人)の意識モデルである。目的の明確性やデータを巡る条件などが担保されないと結果は期待できない。意思決定に至る思考経路を辿れば理解が容易になるし、これが概念に他ならない。ちなみに概念とは本質を掴む最短経路と同義である。
(3)電脳経済学全体がモデルであるがそのサブモデルにd60協議経済がある。協議経済は仮称であるが社会的所有と市場原理を原則とする人工社会の構想である。両者はストックとフローの関係にあり、租税制度が両者関係を制御する。下記3.参考資料(3)にその具体的な接近事例が提示されている。

3.参考資料:
(1) マルチエージェントシステム (Wilipedia)
(2) 人工社会―複雑系とマルチエージェント・シミュレーション Joshua M. Epstein(著), Robert Axtell(著) 服部 正太(翻訳)、木村 香代子(翻訳)  発行元:(株)構造計画研究所/発売元:共立出版(株)
(3) 人工社会における制度設計の考察 −社会変化の過程と税の徴収についてー 富田 真治、生天目 章 情報処理学会研究報告 知能と複雑系(ICS-131)