電脳経済学v3> gis地理情報システム > gis10 GISをどう捉えるか
(当初開設:2005/01/21)(一部修正:2005/02/16: 2006/04/10: 2010/09/17: 2011/12/08)

gis10-1 GISの概観
先ず”GISとは何か”について国土交通省国土政策局GISHPに基づいて概要を把握します。次に日本におけるGIS導入の歴史を辿ると1995年の阪神・淡路大震災を契機として急速に普及した経緯があり、2011年の東日本大震災においてもGISの有効性は刮目に値します。今日では、さまざまな立場の人々がそれぞれの目的をもってGISに取り組んでいます。ここで確認すべきはITやGISのみならずコミュニケーションは目的共有や相互了解を前提に成立する点です。つまりGISは世界共通の「言語」に外なりません。
なおGISとはGeographic Information Systemの略語で正式名称は「地理情報システム」であります。LIS (Land Information System:土地情報システム)、SIS(Spatial Information Science:空間情報科学)、Geoinformatics、Digital Earth、さらにはGPS(Global Positioning System:地球測位システム)、カーナビ(Automotive navigation system)、RS(Remote Sensing:遠隔探査)なども地球表面情報の電子媒体による表現という意味では共通した概念です。本サイトではこれらを地理情報システムの略語GISに統一しています。GISの基本的な要件として地球座標系に基づくメタデータ、レイヤー機能、表ソフト対応、統計演算機能などを挙げることができます。ここで注意すべきはGISはコンピュータで描かれた地図と峻別される点です。この文脈に沿う初学者向けのGIS入門サイトを適宜参考にして下さい。

gis10-2 GISの定義
GISに関する数多くの定義の中から次に3事例を示します。ハイライトで示した組織化されたが意味深長といえます。

(1) 地理情報を効率的に取得、保存、更新、加工、解析、表示するためのハードウエア、ソフトウエア、地図データ、人材、手法の組織化された強力な問題解決ツール。(ESRI, 1990, Understanding of GIS)

(2) 空間データと非空間データを結合して利用する情報システムでデータの空間的検索や空間的な分析、処理が可能で空間的表現が可能なシステム。(久保幸夫、1996、新しい地理情報技術、古今書院)

(3) 地球上の事物を対象とする図形・属性テーブル対応型データベース・システムで地球座標具備性とレイヤー機能を顕著な特性とする。その可能性は政治経済はいうに及ばず人体(Micro Cosmos)から宇宙(Macro Cosmos)まで計り知れない。(本サイト)

(4) 地理的アプローチによって課題解決プロセスを支援するシステム。(ESRIジャパン, 2013フォーラム GISでできること)

gis10-3 GISの構成
GISは下記に示すように大きく「目的」と「方法」の成分から構成され、両者の関係は目的連鎖と呼ばれます。ここでいう目的連鎖とは狙いとツール(gis10-2(1))の階層的な関係を指します。

A 目的:動機付け
 1 何のためにGISを導入するのか?GISで何を狙うのか?
 2 誰か意思決定者か?職務権限・責任能力・技術的理解力の面からの推進主体は?
 3 誰に相談すればよいのか?
 4 そのための予算手当ては?
 5 どのような要員構成となるか?
 6 工程表を段階(Phase)別に示せるか?
 7 費用/効果分析が可能か?導入目標に対応する達成度の評価方法があるのか?

B 方法:構成要素
 1 ハードウエア
 2 ソフトウエア
 3 地図データ
 4 ヒューマンウエア(人材、要員)
 5 手法(ノウハウや知識経験)

gis10-4 目的連鎖としてのGIS
GISの要諦は「目的の確認」にあります。「目的の確認」とは「何のためにGISを導入するのか?」「GISで何ができるのか?」についての明確な説明根拠を意味します。方法については研究者やヴェンダーなどの専門家からの助言も期待できますが、目的自体は当事者が決定すべき事項であります。ところが、目的を確定するには「GISで何ができるのか?」という「方法」についての的確な理解が要求されます。つまり両者は車の両輪の関係になります。

gis10-5 想像力が問われるGIS
したがって、GISに取り組むに際してこの目的と方法を巡る同時併行的な理解つまり両者の相互検証作業は格別な意義を持ちます。前記の目的連鎖はこの文脈において試行錯誤的に組織化されて行きます。つまり目的連鎖は与えられるものではなく当事者自身で組み立ててゆくべき性格のものです。あえて逆説的な表現を借りれば、GISの成否は直感、決断、使命感、目的意識、遊び心、‥‥といった説明困難な要因に大きく依存します。つまりGISの世界はこの逆説真理を信じる想像力の豊かな人々のみに開かれている仮想空間といえます。信じがたいことに現実世界はこの仮想空間にすっぽりと収まっています。そのような仮想空間を構築できるか否かです。そして次の段階においてこれらは構想力やシステム化として現実世界に現れます。この文脈を敷衍すればGISはイメージとしての空間を可視化の手順を踏んでリアル化するといえます。時間や主体との絡みなどさらなる詳細はspt時空f用語集を遊び心をもって参照願います。