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計画経済の仕組み

図c40 計画経済の仕組み


c40-1 市場原理に対応する計画原理
今日の日本社会において市場原理は人口に膾炙していてあたかも空気のような存在ですが、一方で民主主義も工場の入口までという言葉もあります。これは工場のなかでは計画原理に基づく厳格な組織管理体制が敷かれている事実を告げるものです。いつの世どの社会も個人の自由に任されている部分と逆に個人が管理されている部分が混在しています。さらに管理対象を巡って個人的所有か社会的所有かという財の所有形態が問われてきます。両者の組み合わせは図d60経済体制のあり方のように表現できます。図d60の趣旨は市場と計画あるいは個人と社会が二者択一ではなく領域的な広がりをもつ点にあります。
計画原理といっても格別のことではなく図c40計画経済の仕組みに示すように通常の組織図とか系統図と同じピラミッド形式による資源配分方法であります。体制のいかんを問わず組織管理ないし権力機構はこれ以外はないようです。円卓形式や合議制といえども議長や委員長が纏めるわけで結局は同じことです。ある歴史家にいわせると人類の歴史は集中と分散の繰り返しだそうですが電脳経済学の立場はエントロピー増大則の枠内でそれを否定しません。

c40-2 計画原理と経済体制
ただ社会主義諸国においては共産党の指導のもとに計画経済運営がされます。経済運営に対する党の強力な関与は政治と経済が不可分の関係にあることを示しています。図c40において民意を汲み取る上向きの方向は基本的に党の役割であり、下向きの方向は行政機構を通して執行されます。資本主義国の場合も政府や軍隊のように組織目的が明快な場合にはこの計画原理は有効に機能します。しかし高度に発達した資本主義社会の場合、各経済主体は自身で情報を収集管理して意思決定を下し臨機応変に対応する仕組みになっていますから両体制の赴く先は自明と言えます。

c40-3 歴史の流れとしての通貨統合
ソ連邦の崩壊に伴ってかっての社会主義諸国は市場経済のもとでの社会主義を目指す移行経済によっていますが、民主的意思決定と社会的所有を巡ってその前途は厳しいようです。一方の資本主義諸国といえども各国ともさまざまな内部事情を抱えています。なお見逃されがちですが世界統合は通貨統合を機軸に進行しています。電脳経済学では貨幣は情報の担体とする立場から社会的所有と市場経済を組み合わせた協議経済という第三の体制を提案しています。