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(一部修正:1998年1月15日 )(追加修正:2004年7月15日)

経済思想との関係

図e20 経済思想との関連


e20-1 代謝モデル体系と経済思想の関係
代謝モデル本体とその支援モデル群が経済思想とどのように対応するかについて考えてみます。図e20経済思想との関連に示す構図を設定して考察を進めます。ここで思考枠組みとして宇宙と人間の関係をとりあげます。宇宙が存在して人間がそれを認識するという見方自体に異存はないと考えます。これは人間が主語となる人間中心の考え方です。しかし人間が述語(記述される側)になることも考えられます。この人間を客体化する手続きを踏むと人間が存在し宇宙がそれを認識することになります。両者の中間に仮想的な鏡を置けばこの人間と宇宙を反転する考え方となります。この対称性による接近方法は人間を神の似姿あるいは宇宙の自己認識とする立場と共通します。

e20-2 「認識論」「体制論」「存在論」の関係
この考え方は交換モデルで述べた「共役的写像関係」に符合します。そこで貨幣は商品情報の担体としましたが担体を鏡と置き換えることもできます。この「共役的写像関係」図e20経済思想との関連で示す交換モデルと認識論の関係に当たります。同図の経済過程の一般形式と存在論の関係についても同じことが言えます。なぜなら経済過程の一般形式において宇宙はすでに内部化されているからです。資本モデルと体制論の関係は次のようになります。体制論は資本モデルと同様に歴史を背負っているために理論の範疇から外れるともいえます。それは両者が資本と所有の関係並びに経済体制と財の形態で述べた文脈に属することを意味します。

e20-3 変換モデルと「価値論」の関係
最後に変換モデルと価値論の関係は次のように考えます。変換モデルに根拠を与える変換系あるいは変換過程をつぶさに観察すると経済系の営みが情報の抽出・集約過程であることが読み取れます。一方、価値観に関しても宇宙観と同様に基本的に各人の自由裁量に任されています。しかし同時にこの世界には共通の価値があり、それ故に社会が成り立っています。真善美はさておいて経済の立場からはやはり貨幣こそが社会共通の価値と言うべきでしょう。ところが貨幣は交換価値つまり普遍的な手段方法としての価値はありますが、それ自体は目的となり得ない性格のものです。一方、使用価値は貨幣所有者の目的性に依存します。目的達成のために現代人は貨幣を必要とします。しかし貨幣はあくまで方法であり貨幣で目的自体を手に入れることは出来ません。この関係については目的論と方法論においてさらに検討を加えています。